「理学療法士が増えすぎている」——最近、こういった声を聞いたことはありませんか?
実際に理学療法士の数が急増しており、2026年から2027年には、就職や転職の競争が激化すると予測されています。
「これからの就職が不安…」
「理学療法士を目指しても大丈夫なの?」
心配になるのも無理はありません。
ただ、重要なのは「理学療法士が増える現状を悲観」することではなく、「現状を正しくとらえ、どう対策していくか」です。
今回はこの「理学療法士増えすぎ問題」にどう立ち向かうか、具体的なポイントを一緒に見ていきましょう。
リハビリテーション部 部長
10年以上、院内の人事・採用を担当
延べ300人以上の人事・採用に携わる
年収800万超
理学療法士の働き方や就職に関する情報を発信
理学療法士 増えすぎの原因
理学療法士が増えすぎている原因は、一言で言えば「理学療法士養成校の急増」です。
まるで雨後の筍のように、次々と新しい養成校ができています。
さらに重要なのは、国試合格率が非常に高いこと。
結果的に理学療法士の供給過多を助長しているのです。
- 理学療法士養成校の急増
- 国試合格率が高い
理学療法士養成校の急増
理学療法士養成校が急増した理由、それはシンプルに「需要がある」と見込んだからです。
しかし、数年でここまで増えるとは予想外でした。
その結果、理学療法士がどんどん増え続ける状況になっています。
養成校が増えることのメリット
理学療法士養成校が増えることは、理学療法士を目指す人にとって選択肢が広がるという点では良いことです。
私自身が目指したときは、本当に数えるほどしか選択肢がありませんでしたから。
むしろ、理学療法士という仕事自体知らない人も多かったと思います。
養成校が増えることのデメリット
その一方で、養成校の急増は、卒業後の競争が激化するという側面も。
こうした現状で、「どこの学校に行っても同じじゃない?」と考えるのは危険。
養成校を選ぶ際には、その後の就職支援やネットワークの強さを見極める必要があります。
国試合格率が高い
理学療法士の特徴として、国試の合格率が非常に高いこともあげられます。
「合格率が高いなら安心」と思うかもしれませんが、競争激化を助長する原因の1つです。
合格率が高いと、その分だけ多くの理学療法士が生まれます。
資格を取ること自体は大切ですが、実際に現場で働くことになれば、他の新卒者と同じスタートラインに立たされることになります。
つまり、資格を取るだけでは勝ち残れないということです。
理学療法士 増えすぎによる就活・転職への問題
理学療法士の増加の問題は、就活や転職に大きな影響を与えることです。
- 魅力ある求人の競争率が激化
- 従来の就活スケジュールでは対策が難しい
魅力ある求人の競争率が激化
特に「魅力ある求人の競争率が激化」していくことは見逃せません。
今後、将来性のある病院や有名な施設の求人には、更に応募が集まる状況になるでしょう。
「どうせ他にも求人はあるし」と悠長に構えていては、良いポジションを逃してしまいます。
なぜなら、あなたの将来を考えてくれる・将来性のある(昇給率の良い)病院というのは限られているから。
将来性のある病院が限られている背景
実は、理学療法士の急増以前に、「大きい病院だから安心」という時代はすでに終わっているんです。
2022年の報告によると、国内における病院のうち、約7割が赤字と報告されています。
「赤字だと何が問題なの?」と思いましたか?
勤める病院の経営状態は超大事な理由は次の通りです。
- 赤字の病院に勤めても給料は上がらない
↓ - 理学療法士として安心して勤めるためには、黒字の病院に勤める必要がある
↓ - 黒字の病院に人気が集中
↓ - 良い求人の競争率が激化
「いやいや、赤字の病院でもつぶれないでしょ」って思ってませんか?
もう、病院でもつぶれる時代ですからね。
2023年度の病院廃業率は過去最多を更新しています。
つまり、つぶれない病院=黒字の病院選びが、理学療法士にとっても重要だということ。
魅力ある求人は、宝探しのようなものです。
だからこそ、早めに情報収集を始め、適切なタイミングを逃さないことが重要です。
これまでと同じ時期の就活開始では対策困難
理学療法士の就活は、一般的に、4年生の6月から始まることが多いです。
それに対して、同世代の大学生がどのように就活を進めているか知っていますか?
一般企業の就活は、大学3年生から
同世代の学生たちは、3年生になるとすぐに動き始めます。
まず、自分が働きたい分野を検討し、複数の就職説明会に参加します。
そして、インターンシップとして短期間企業で働くことで、「自分に合った職場探し」を進めていくのです。
理学療法士業界の就活は短期間
これに対して、理学療法士の業界ではどうでしょうか。
4年生の6月になって初めて求人票が届き、その中からいくつかをチェック。
そこから9~10月に就職試験を受けるという、わずか3ヶ月程度の就活です。
同世代の人たちが1年以上かけて行う就活が、理学療法士の業界ではたった3ヶ月。
それで本当に納得いく就活が出来ると思いますか?
理学療法士が短期間の就活となっている背景
じゃあ、なんで理学療法士の就活が短期間で成り立っていたのか。
実は理学療法士の数が圧倒的に少なかった時代の名残です。
30年ほど前、理学療法士は非常に稀少で、まさに「貴重な存在」でした。
そのため、就活にそれほど力を入れなくても、国試や臨床実習に集中していれば十分だったのです。
競争が激化する時代、行動が鍵
しかし、現在では、赤字経営の病院が7割と、理学療法士にとって安心して働ける・将来性のある優良求人は超貴重な時代になりました。
従来のスケジュールで対策をするだけでは、もはや追いつきません。
だからこそ大切なのは、早めの行動です。
たとえば、あなたが新しいレストランに行くとき、早めに予約をしておかないと、人気のある時間帯にはすでに満席になってしまうことがありますよね。
就活も同じです。人気の高い求人は、早めに動くことで手に入れやすくなるのです。
意識を変えるチャンス
でも、このことに気づいている人はまだ少ないかもしれません。
多くの人が従来の就活スタイルで大丈夫と思っていると思います。
でも、あなたは違います。
早めに動き出すことで、競争をリードし、将来性のある求人を確実にゲットするチャンスが広がるのです。
関連記事:経済的に将来性のある理学療法士になりたい!職場選びの方法とは
理学療法士 増えすぎ問題を切り抜ける就活のポイント
「じゃあ具体的にどうしたらいいの?」って思いますよね。
ここからは、理学療法士の増えすぎ問題を切り抜けるための具体的な就活のポイントについてお話します。
- 就活は3年生から始める
- 自分の強みを言語化できるようにする
- 面接対策は学校任せにしない
就活は3年生から始める
将来性のある理学療法士を目指すなら、3年生の段階で就活を始めましょう。
正直、就活は情報戦です。
いかに「求人票」に載っている表面的な薄っぺらい情報だけでなく、具体的な情報を集めることが出来るかが、将来性のある理学療法士になる鍵となります。
そのためには、とにかく早めに動き出すこと。
特に、以下の情報は必須項目です。
- 病院の経営状況
- 給料が上がるかどうかの判断になる
- 病院の今後のビジョン
- 安心して働ける病院かどうかの判断になる
こうした情報は、求人票や表面的な就活ではゲットできません。
早めに動き出すことで、将来性のある職場選びに十分な情報収集をしましょう。
自分の強みを言語化できるようにする
自分の強みって、言語化できますか?
就活において、「自分の強みを言語化する」ことは非常に重要です。
単に「頑張ります」とか、「長所は明るいところです」では、採用担当者の心には響きません。
具体的に、自分がどのように職場に貢献できるのかを言葉にできるかどうかが、合否を分ける大きなポイントになります。
「自分にはこれができる」と自信を持って伝えるためには、具体的な自己分析を行い、自分の強みを明確にする必要があります。
面接対策は学校任せにしない
「面接対策は学校がやってくれるから大丈夫」と思っていませんか?
実は、養成校の急増で、面接指導をやってくれる学校と、やってくれない学校が出てきました。
正直、面接をすれば、対策や練習をしてきたかどうかは一目瞭然です。
「長所や短所」「志望動機」など、超一般的な質問の受け答えも曖昧だと、印象は悪いでしょう。
良い求人をゲットするためには、面接対策をしっかり行ってきたという姿勢をみせてください。
理学療法士 増えすぎ!就活における注意点
理学療法士の増えすぎ問題を考えるとき、就活における注意点も見逃せません。
- 自分本位な発言はNG
- これまでの就活の流れは通用しない
自分本位な発言
就活の面接で、「自分の成長・キャリアのために」「まずは足掛かりとして」などの発言をしてしまうことは、採用担当者にマイナスの印象を与える可能性があります。
もちろん、自分の意欲をアピールすることは大切ですし、自身のキャリアを考えていても構いませんが、それを面接で堂々と言うのは不適切。
職場が求めているのは「職場への貢献度」です。
「自分が会社にどう貢献できるか」をしっかりと伝えること。
面接官が求めているのは、自己中心的な理学療法士ではなく、チームで働けるプロフェッショナルです。
これまでの就活の流れは失敗しやすい
何度も言いますが、「これまでの流れで就活をすれば大丈夫」と思っていると非常に危険です。
理学療法士の増加に伴い、従来の就活スタイルでは競争に勝ち残ることが難しくなっています。
就活のタイミング、情報収集の方法、そして面接対策——これらとしっかり向き合うことで、あなたが安心して働ける職場の求人合格に一歩近づけるはずです。
理学療法士 増えすぎが心配な人のよくある質問
理学療法士ってオワコンなの?
理学療法士はオワコンと言われることがありますが、どちらかというと、「オワコンと言われる理学療法士」がいる、といった方が正しいと思います。
なぜなら、将来を見据えて仕事に誇りを持ちながら働く理学療法士もたくさんいるからです。
将来性のある理学療法士になる方法が知りたい
理学療法士の仕事は、人の役に立つ本当に魅力的な仕事です。
ただし、それに見合った給料がもらえないと、精神的に苦しくなってしまうのも事実。
あなたが精神的にも経済的にも将来性のある理学療法士になるには、職場選びで9割決まると言っても過言ではありません。
まとめ:理学療法士の転換期といえそう。現状に対応した就活を
理学療法士の増えすぎ問題は、業界全体の大きな転換期を意味しています。
- 理学療法士の数が急増し、就職や転職の競争が激化する予測がある
- 理学療法士が増えすぎている原因
- 理学療法士養成校の急増
- 国試合格率の高さ
- 魅力ある求人の競争率が激化
- 競争率激化の対策
- 従来の就活スケジュールでは対策が難しいため、早めの行動が必要
- 就活は大学3年生から始め、病院の経営状況やビジョンの情報収集が重要
- 自分の強みを言語化し、面接対策は学校任せにしない
あなたが安心して働けること・将来性のある理学療法士としてのキャリアを築くためには、早めの情報収集と戦略的な行動が必要です。
これからの理学療法士業界を一緒に切り開いていきましょう!
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