理学療法士の将来性はあるのか?
現役19年目の理学療法士としては、重要なことは、「どうすれば将来性のある理学療法士になれるのか」ということを伝えたく、この記事を書いています。
- 本記事の内容
- 理学療法士の将来性が「ない」と言われる理由
- 理学療法士だから分かる本当の「現状」
- 将来性のある理学療法士になる方法
正直、「理学療法士」を一括りにして、「将来性の有無」を語るのは難しいんですよ。
例えば、「パン屋さん」がみんな成功するかと言ったらそうじゃない。
じゃあ「会社員」になったらみんな安泰?違います。
大事なのは、「将来性のある」理学療法士になることですよね。
ここでは、理学療法士の現状と、「将来性のある」理学療法士になる方法について解説します。
あなたが今不安に思う「理学療法士の将来性」について、解決の糸口が見つかりますよ。
- 自己紹介
リハビリテーション部 部長
10年以上、院内の人事・採用を担当
延べ300人以上の人事・採用に携わる
年収800万超
理学療法士の働き方や就職に関する情報を発信
理学療法士将来性ないと言われる理由
「理学療法士 将来性」と検索すると、「将来性ない」とヒットしますよね。
そう言われる背景には理由が存在します。
将来性がないと言われる背景を解説しますね。
平均給与が低い
1番の問題は、理学療法士の平均給与が低いこと。
厚生労働省が発表している「令和4年賃金構造基本統計調査」によると、理学療法士の平均年収は約431万円。
平均年齢 | 決まって支給する現金給与額 | 年間賞与その他特別給与額 |
---|---|---|
34.7歳 | 300,700円 | 698,400円 |
会社員と理学療法士の年収比較
国税庁が発表している「年齢階層別の平均給与」を参考に、一般会社員の年収と比較してみましょう。
「男性会社員」と「理学療法士」を比較すると、30代前半で約100万円もの差が開き、50代では200万もの差。
「全会社員」と「理学療法士」を比較しても、30代後半で約60万円ほど差が開いています。
問題は「昇給率」の低さ
キャリアをスタートした当初は、他の職業と比べても年収に大きな差もなく、むしろ、やりがいや社会への貢献を実感しやすい仕事なので、満足できます。
しかし、長く働くうちに、給与が他の職種と比較して低いことが気になり始める方が多いんですね。
家族を持ち、物価高で生活費が増加する中で、経済的な不安を感じる。
結果として「理学療法士って将来性ないわ…」と悲観する人がいるのも自然なことです。
理学療法士の数が飽和
2つ目の理由は、理学療法士の数が飽和状態にあること。
理学療法士の学校数は、ここ数年で急激に増えたんですね。
自分が学生の頃は、数えるほどしかありませんでした。
学校の数が増えたことで、理学療法士の数も飽和状態に。
現状では、2026年を境に、理学療法士の「需要」と「供給」が逆転すると言われています。
結果的に、新卒者や転職希望者にとっては、理想的な職場を見つけることが難しくなることが考えられ、「理学療法士は将来性がない」と言われるようになりました。
理学療法士に将来性はないってホント?今の現状【現役PTが語る】
じゃあもう「理学療法士は将来性がないからやめよう」
そう思ってしまいますよね…
ここでは、教科書的なことだけでなく、リアルな現状をお伝えします。
理学療法士になれば安泰という時代は終わった
「資格を取れば安泰」「食いっぱぐれない」
現在60代くらいの方々までは、資格って最強だったと思うんですよ。
しかし、残念ながら、資格最強の時代は終わりました。
現在は、理学療法士として資格を取得しただけでは、将来の安定を保証することはできません。
大きい病院=安心ではない
さらに、「大きい病院に勤めれば安心」という考え方ももはや通用しません。
かつては大規模な病院に勤めることで、安定した職場環境が得られると信じられていました。
私が就活していたころは、「とりあえず大きい病院」がスタンダードでしたね。
病院の約7割が赤字経営
しかし、今ではその安心感も揺らいでいます。
大きい病院であっても、経営状況が悪化しているところもあり、職場の安定が保証されるわけではありません。
2022年度の医療業界において、約7割が赤字経営であると発表されました。
病院の廃業件数は過去最多を更新
さらに、2023 年度における医療機関の廃業件数は、709 件と過去最多を更新。
10 年前と比較して 2.3 倍に増加しています。
大きさに関わらず、病院でもつぶれる可能性のある時代になりました。
将来性のあるPTとないPTの差がはっきりしてくる
こうした現状から、将来性の「見込めるPT」と「見込めないPT」の差がはっきりしてきたと感じています。
この差は、今後ますます鮮明になるでしょう。
理学療法士という仕事「すべて」を悲観するべきではない
私が強調したいのは、「差が大きくなる」ことへの悲観ではなく、「将来性のある理学療法士」にもなれるということなんですよ。
あなたが本当に「理学療法士になりたい」とか、「理学療法士の仕事が好きだ」と思えるなら、「将来性のある理学療法士」を目指せばいいんです。
現に、私自身は年収800万を超えましたし、職場の人たちの年収も上がっています。
理学療法士イコール将来性がないと悲観せずに、「将来性のある」理学療法士になる方法を実践することが大切です。
将来性のある理学療法士になる方法
では、将来性のある理学療法士になるにはどうしたらいいのでしょうか。
ここでは、現役の理学療法士が、キレイごと抜きで、見落としがちな「本当に重要なこと」を2つ伝えます。
将来性のある職場を選ぶ
この記事で伝えたい「結論」と言ってもいいんですが、「将来性のある職場を選ぶ」ことに尽きます。
職場選びをする際に、「どんな疾患が多いか」とか「勉強会への補助」とか。
理学療法士の方は本当に真面目な人が多くて、勉強熱心だから、比較ポイントがそんな感じなんですよね。
でもね、あなたが将来性のある理学療法士になるには、「職場の将来性」が超重要です。
そして、職場の将来性を判断するのに、絶対確認してほしいのが、この2つ。
- 昇給率
- 今後のビジョン
昇給率
昇給率とは、前年度の給与と比較して、今年度の給与が何パーセントアップしたかの割合のことです。
理学療法士の初任給って、実は他の職業と比べてもべらぼうに低いわけじゃないんですよ。
じゃあなんで給与の差が開いてしまうのか?
それは、昇給率の低い職場が多いからです。
だって、7割の病院が赤字なんですから、給料も上げられないですよね。
逆に、昇給率の高い病院は、経営状態も良い場合が多いです。
たまにどんぶり勘定の病院もあるので注意。
特にしやすいミスは、「初任給が1万円くらい高かったからこの病院を選ぶ」ってこと。
その病院、昇給率はどのくらいですか?
ちゃんと「初任給」だけじゃなく、「昇給率」も見ないと、後悔しますよ。
今後のビジョン
これも、確認してほしいんですが、「今後のビジョン」があるかどうか。
例えば、あなたが新卒で入職した場合、40年後の病院のあり方まで考えてくれてますか?ってことです。
あなたが40歳になったときに、「院長がいないんで廃業します」って言われたら、めちゃくちゃ困りませんか?
社員のことを本気で考えてくれている職場なら、「院長が引退した後のこと」や、「社員の給料を上げるためのビジョン」が絶対にあるはず。
あなたの大事な人生の時間を費やす職場です。
あなたのことを大事に考えてくれている職場かどうか、きちんと見極めましょう。
就活を「なんとなく」でやらない
理学療法士としての就活は、絶対に「なんとなく」でやらないことをおすすめします。
理学療法士の就活が、一般企業と圧倒的に違うのは、「国試の勉強をしながら就活をやらなければいけない」ことなんです。
更に言うと、「臨床実習」がかぶってくる人もいるでしょう。
そうすると、目の前の「臨床実習」と「国試」に重きを置かなければいけないので、「就活」をなんとなくやってしまう人が多いです。
その結果、就職してから「こんなはずじゃなかった」とか、給与が上がらないとか。
後悔してしまう原因になります。
就職活動は、自分に合った職場を見つけるための重要なプロセスです。
さらに言えば、あなたが将来性のある理学療法士になれるかどうかは、就活にかかっていると言っても過言ではありません。
理学療法士の将来性が気になる人がまずやるべきこと
理学療法士としての将来性に不安を感じている方、まず何をすべきか。
「理学療法士をめざそうと思っている人」と、「すでに理学療法士として働いている人」がやるべきことを解説していきます。
理学療法士をめざそうと思っている人
理学療法士を目指そうと思っている人は、自分の強みが何なのか、把握することから始めましょう。
あなたの強みが何なのか、ぱっと答えることができますか??
例えば、「人と話すのが好き」だとしますよね。
でも、仕事って、多かれ少なかれ、なんでも「人と話す」んですよ。
もっと深堀りした強みを把握した方が、失敗せずに済むはずです。
あなたにはあなたの強みが絶対にあります。
「資格を取ればOK」という時代ではなくなった以上、あなたの強みを活かせる仕事を見つけることが重要です。
まずはあなた自身の強みを見つけることから始めましょう。
すでに理学療法士として働いている人
すでに理学療法士として働いている方は、まず、あなたの職場が「将来性のある職場なのかどうか」を見極めましょう。
「昇給率」や「職場が黒字かどうか」、「将来のビジョン」を把握するだけでも、職場の将来性は見えてくるはず。
昇給率が低い・職場が赤字・将来のビジョンが見えないといった場合には、他の職場を検討することも考えてみましょう。
理学療法士の将来性に関するよくある質問
理学療法士としての将来性はどう見込まれているのか?
結論としては、将来性のある職場で働くことで、将来性のある理学療法士を目指すことが出来ます。
理学療法士の年収の現実は?
平均年収は431万です。
まとめ:理学療法士として正しいビジョンで将来性を見出そう
ここまで、理学療法士の将来性について、リアルな現状を踏まえ解説しました。
将来性がないとされる理由:
- 平均給与の低さ:
- 平均年収は約431万円で、他の職業と比較して低い
- 職業の飽和:
- 理学療法士の数が増え需要と供給のバランスが崩れつつある
- 病院の安定性の低下:
- 経営が悪化している病院が増加し、安定した職場環境が保証されない場合がある
将来性のある理学療法士になる方法:
- 職場選びの重要性:
- 将来性のある職場を選ぶことが重要
- 昇給率:
- 昇給率が高い職場は経営状態が良い場合が多い
- 今後のビジョン
- 社員の雇用を守り、給料を上げるためのビジョンがあるかを確認する
理学療法士は将来性がないという、机上の一般論だけにとらわれずに、「将来性のある理学療法士になるには」という重要なポイントをおさえていきましょう。
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